少し良いイスが欲しいな…と思ったとき、誰しもが一度は調べるのが アーロンチェア ではないでしょうか。言わずと知れたハーマンミラー社の代表作であり、デスクチェア・オフィスチェアのド定番です。
そんなアーロンチェアを今回、中古で格安で手に入れました。今回はアーロンチェアの特徴を軽くおさらいしながら、中古のメリット/デメリット、バナナクッションなど消耗品の交換方法や、おすすめの購入先を紹介していきます。
アーロンチェアとは
アーロンチェアは1994年にドン・チャドウィックとビル・スタンフによってデザインされた、ハーマンミラー社のデスクチェアです。エルゴノミクス(人間工学)デザインを取り入れており、機能性・デザイン性の高さに定評があります。
ユーザの体形に合わせて3サイズから選ぶことができるだけでなく、使用環境に合わせて細かく設定調整が可能。「1から99パーセンタイルまでの体にフィットするように設計」されていると述べられています(出典:ハーマンミラー社WHYマガジンより)。
廉価版が126500円~、スタンダードモデルが235,400円、ハイエンドモデルとなると30万円を超えます(いずれも税込み、2022年6月現在)。デスクチェアとしては高価ですが、正規店で新品購入すると「12年保証」がついてくるメリットもあり、人気を博しています。
購入したアーロンチェア・クラシック
今回購入したチェアです。2014年製のクラシックモデルです。レザーのアームパッドとポリッシュドアルミベース仕様になっています。「メンテナンス済み」ということで信頼できるインテリアショップにて購入。実店舗にて実際に座って細かく確認させてもらったので、安心して購入できました。
実際に1ヵ月使用してみましたが、各種調整レバーなど問題なし。メッシュにもダメージは無く、消耗品を一部交換するのみで済みました。その様子については後述します。
中古品のメリット/デメリット
中古のメリットはもちろん価格の安さ。今回買った品は定価30万円程度ですが、中古で輸送費込み10万円チョイでした。型落ちながらフル装備のハイエンドモデルを、現行のエントリーモデルより安く購入できたことになります。
一番大きなデメリットは「12年保証」が効かないこと。「お客様名・日付・販売店名・品名が明記されている書類」が必要で、並行輸入品や譲渡されたチェアは保証外になります。中古購入ももちろん対象外です。
新品購入すれば初期不良は対応してもらえますが、中古品に深刻なダメージがあった場合は面倒なことになります。
中古品を買う場合は、必ず現品の確認を!座ってみないと分からないことも多いです。どうしてもネットで買う場合は、初期保障がついているものを、有名なお店から買うことをお勧めします!
少し別の手。中古品を購入してハーマンミラー社でオーバーホールしてもらうのもおススメ。正規店購入でなくてもOKで、12年の保証が切れても依頼できます。メンテナンスと各種消耗部品の交換、クリーニングまでしてもらえて、2万円で往復送料込み(2022年6月現在)とリーズナブル。中古で買って即オーバーホールに出しても全然お得です。
購入した中古品が思ったより状態が良かったので、オーバーホールはまたの機会にしました。数カ月待ちになるようなので、余裕を持ってお願いするようにしましょう!
消耗品交換
消耗品も使用には差し支えないコンディションでしたが、新品気分で使いたかったので交換することにしました。「バナナクッション」と「ポスチャーフィット」は経年劣化しやすい素材で、交換もしやすく作られています。
座面メッシュのモモ部分を支えてくれるのがバナナクッション。メッシュとフレームの間に挟み込まれているだけなので取り外しは簡単なのですが、結構ベッタリと接着されています。クッションが劣化しているとボロボロになるので注意。今回は比較的キレイにはがれてくれました。
座面を外して作業する手もありますが、12年保証の対象外になる可能性があるので注意!ハーマンミラー社HPの品質保証の条件に「お客様で製品の分解や改造がされていないこと」と明記されています。中古なら関係ないですけどね。
上が取り外したもの。8年でこれぐらい劣化するということになりますね。ヒビ割れは取り外したときについたものです。クッション性は十分に残っていましたが、見た目は判りやすく劣化しているので交換してしまいます。交換方法は簡単で、裏の両面テープを剥がして先ほどの隙間に押し込むだけです。
12年保証であれば交換品はハーマンミラー社から取り寄せることが可能。無料で交換品が送られてくるので、正規店購入であればコチラから依頼するのが良いでしょう。
今回は中古購入なので、適当なサードパーティ製を使用しました。「純正」を謳って販売してるサイトもありますが、おすすめしません。「ハーマンミラーメンテナンスおよびハーマンミラー公式サイト以外のネット通販等で販売されているパーツは正規流通品ではありません」とHPでも注意喚起されています。
ポスチャーフィットは上記の画像のように取り外してから交換する必要があります。こちらはバナナクッションと異なり、土台にベッタリと接着されているので苦労します。プラスチックのヘラなどで根気強くクッションを取り外してから、新しいクッションを接着しましょう。
こちらも色がだいぶ変色していますね。こちらもクッション性は十分ですが、見た目が悪いので交換してしまいます。右が新品ですが、こちらも社外製品。張り替えたら先と逆の手順で本体に取り付けて終了です。
今回はAliExpressを使いました。2点で2600円と格安、到着まで5日ほどで品質も高かったのでおすすめです。海外通販はちょっと怖い…という方は大手通販でも見つけることができますが、代わりに少々割高です。
交換後の印象。クッションがヘタれる前の交換でしたが、意外と「おっ、クッションにハリがある!」という感想でした。特にバナナクッションのほうは判りやすい。モモが薄っすらフレームに当たっていたのが、クッションでしっかりサポートされて頼もしい座り心地になりました。
触った感じは「あまり変わらないかな?」という印象でしたが、座ると違いが判ります。中古品購入時は交換をおすすめします。新品気分で気持ちも良いです!
キャスター交換
OAチェアのキャスターは基本的にオフィスでの使用を想定しているため、自宅での使用にそぐわない場合が多いです。アーロンチェア標準のキャスターもご多分に漏れず、フローリングで使うと「転がる」というより「滑る」。キャスターがグリップしないので、このまま使うと床に擦り傷が付きます。
そこでおすすめなのがウレタン製のキャスターを使うこと。ウレタン製キャスターだと床としっかりグリップします。静音性も優れているので、椅子を押して移動してもかなり静か。マイナスドライバーなどで(テコの原理の要領で)取り外して、替えたいキャスターをグッと押し込むだけで簡単に換装できます。
おすすめはサンワサプライのキャスター。安価ながら安定した品質です。2000円チョイでかなり使い勝手が良くなるので、超おすすめのカスタムです。
おすすめのグレード
今アーロンチェアを買うならどれか?で言えば、おすすめは「新品でリマスタード」か「中古でクラシックフル装備」です。「ライト」というエントリーモデルもありますが、調整できる内容が削られているのでおススメできかねます。
アーロンチェアの良い点は先述の通り、万人にフィットする調整能力です。この長所がスポイルされてるモデルにするぐらいなら、他のチェアにしたほうが幸せになれると思います。
リマスタードは旧型に比べて新設計の張地・ポスチャーフィットの進化・各種レバーのスマート化など、着実にアップデートが施されています。リマスタードのグラファイト、ノーオプションが一番コスパが高く、22万チョイ。「ウッ」となる値段ですが、しっかり12年保証して貰えると思えば納得はできます。
一方で悪い言い方をすれば、リマスタードのアップデートは「大きな差」ではありません。お高いレザーパッドやポリッシュドアルミベースも、中古なら諦めずフルオプションで買えます。差額でハーマンミラー社にメンテナンス依頼だってできる。リーズナブルに、でも装備を諦めたくない場合には中古が良いでしょう。
繰り返しですが、中古は実際に座って試すのが一番確実!どうしても通販を使うなら、有名店や老舗から購入を。オークションサイトなどは結構危ない橋ですよ!
本日はこれにて。最後までお読みいただき、ありがとうございました。