愛用していた Kindle Fireが水没で逝去したので、代替機を検討しました。子どもたちも動画を見るし、妻もネットに使うとのことで少し良いタブレットを購入することにしました。
色々悩んだ結果、HUAWEI MatePad 10.4 を購入。Google Mobile Survice(GMS)非対応ということで除外していましたが、2万円半ばでロクなタブレットが無かったため半ば消去法で購入しました。本機をレビューしつつ、使い勝手はどうか?GMSが使えない影響は?回避策はあるのか?などを紹介していきます。
EMUI OS搭載、GMS非対応!
2019年に端を発した、米政府とHUAWEIの対立。「製品に不正なプログラムが組み込まれ、スパイ活動に用いられている」という米政府の主張をファーウェイは真っ向から否定し、結局事実は曖昧なまま米国はファーウェイに制裁措置。その流れでGoogleはAndroidの一部サービスを提供停止。その結果、HUAWEI端末ではGoogleのアプリが使えなくなったわけです。
実際にHUAWEI端末が危なかった、というより、シェアを奪われて国益を損なうことを恐れた米国による「米中貿易摩擦戦争」の結果だという意見が大衆を占めています。
事実はどうあれ、2022年現在も GMSは使用することができず、脱獄(OSの制限を抜けてアプリなどをインストールする方法)の方法も全て閉じられていますが、回避策が全くないわけでもありません。コレについては後述します。
それでも本機を選んだ理由は同価格帯のタブレットと比較するとスペックが段違いだったから。5万円レベルのタブレットに匹敵します。それなりに高スペック+microSDに対応の機種で探すと、消去法で本機が残った…というのが本音です。
レビュー
開封レビュー
さっそく開封してみます。ドン。
・本体
・ACアダプター
・USB (Type AtoC)ケーブル
・USB Type-C to 3.5mmイヤホン変換アダプタ
・カードトレイ取り出しピン
・クイックスタートガイド
非常に簡素な同梱物。クイックスタートガイドもペラペラ。ゴチャゴチャと入ってなくて、シンプルで好印象です。
充電アダプタは USB Type-A仕様。本体は Type-Cで充電するので、ケーブルはA to Cケーブルになっています。今の時代、多くの方がそれなりに良い充電アダプタを持っているので、同梱のアダプタやケーブルを最低限にしてコストダウンする流れには諸手を挙げて賛成です。
本体レビュー
対応OS | EMUI 10.1(Android 10ベース) |
サイズ | 245×155×7.0(mm) |
重さ | 約460 g |
ディスプレイ | 約10.4インチ、IPS方式 |
解像度2000 × 1200ピクセル | |
CPU | Kirin 820 (2.36GHz+2.22GHz+1.84GHz) |
8コア | |
GPU | Mali-G52 |
メモリ | RAM:4 GB ROM:64 GB |
拡張メモリ | microSD(最大512 GB) |
通信方式 | (LTEモデルのみ) |
コネクティビティ | IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax (2.4GHz/5GHz) |
BlueTooth® 5.1 | |
USB 2.0 Type-C | |
センサー | 照度/ホールセンサー/電子コンパス/加速度 |
カメラ | 外:約800万画素 (AF) フラッシュ対応 |
内:約800万画素 (FF) | |
スピーカー | 内蔵スピーカー × 4 |
HUAWEI Histen 6.0サウンド効果 |
EMUIはHUAWEIが開発したOSです。独自とはいえAndroidベースのOSなので、Googleアプリが動かないというより、正確には「動くだろうけどインストールさせない、できない」ということになります。
CPUはこれまた独自開発の Kirin、GPUはARM社の Mali-G52を搭載しています。メモリも4GBとこの価格帯では十分です。
AnTuTu(有名なベンチマークアプリ)では 28.2万点、3Dスコア8.3万点でした。これは SnapDragonの700番台に匹敵する性能。ベンチマークだけで単純比較するのは早計ではあるものの、これで2万半ばという価格は脅威です。
本体の上側エッジには音量ボタン、下端にSDカードスロットを配置。
側面にはUSB Type-Cポートと、反対側には電源ボタンが配置されています。両側面にはスピーカー用の穴が開孔していて、4つのスピーカーが内蔵されています。
内蔵スピーカーは、なんとharman kardonによるサウンドチューニングが施されています。
harman kardon(ハーマンカードン)は米国のオーディオ機器ブランドで、BMWやランドローバーなど高級車のスピーカーにも採用されています。JBLやAKGなど兄弟ブランドも有名なんです。コレは期待が膨らみます…!
アウトカメラ、インカメラはそれぞれ約800万画素。アウトカメラはフラッシュを搭載しています。その関係からか、カメラは若干凸状になっており、少し気になりました。ツライチのほうが美しいんだけどな~
ハウジングはアルミで作られており、リーズナブルなタブレットにありがちな安っぽさはありません。ミッドナイトグレーと名付けられた、深い艶のあるボディーカラーです。Apple製品に代表される「匂い立つような高級感」があり、所有欲がしっかり満たされるデザインに仕上がっています。
使用感レビュー
タブレットといえば iPad となって数年。かつてはそれなりに数があった Androidタブレットも1万円台の中華タブレットに占められ、マトモなタブレットがない状態でした。しかし最近は Xiomi Pad 5など「Androidタブレットながら高性能」というマトモな製品がリリースされ始め、Androidタブレット界も活気が出ています。
本機を触っていて感じるのは、MatePad 10.4もその立役者の一人だということ。高い質感、美麗なIPS液晶、狭めのベゼル、約450gという iPad Airとほぼ同等の重量。それでいて処理能力の高いCPU、GPUまで搭載しています。
そりゃあGoogle様に危険視されるわな、というのが正直な感想。こんな製品を2万円チョイで出されたら、ユーザはコレに流れてしまうでしょう。
GMSの非搭載でも、ご覧のように必要なアプリは大体揃います。
HUAWEIが独自に展開している「HUAWEI AppGallery」がありますが、こちらは何とも品ぞろえが微妙…!TwitterやInstagramの公式アプリすらありません。ゲームも有名どころですら展開の無い状況。ヨドバシやビックカメラ、ユニクロにラクマにメルカリなどのアプリはリリース済なので、SNS系は中国製ならではの制限があるのかも知れません。
Amazonアプリストアは使えるので、そちらで展開されているアプリはインストール可能。Prime VideoなどAmazon系のアプリ、自炊した本を読む Perfect Viewer、Youtubeのプレイヤー、有名どころのゲームなどもココで揃います。
残るはGMSの機能。カレンダーやメーラー、Google PhotoやDriveを使おうと思うと一捻り必要になります。ブラウザから使うのも一つの方法ですが、「GSpace」というアプリを使う手もあります。
Kindle Fire系のタブレットでは半ば常套手段となっている「脱獄」ができたのは過去の話。2022年2月現在、HUAWEIのタブレットでは完封されています。
GSpaceを使うと、Google Playでリリースされているアプリを疑似的にインストール可能です。具体的には、GSpace経由でアプリを起動することができるようになります。
方法は簡単で、GSpaceをインストール後、適当なアプリを選択したのちに当該画面で戻るボタンを押すと、Google Playのトップ画面に遷移します。
後は好きなアプリをインストールするだけ。GSpaceにダウンロードしたアプリはショートカットを作ることもできるので、本体に直接インストールした状態に近い形で運用することができます。
デメリットは途中で広告が挟まることと、アプリによっては動作が不安定になること。内部的なスペックを詐称して動作させているので、ゲームなどはマシンパワーを存分に活かせない可能性が高いです。
経験談ですが、Google系のアプリは相性が悪い感触があります。逆に言えば、起動さえしてしまえば問題ないようなアプリはほぼ通常通り使うことが可能です。
GooglePhotoやG Mailアプリは、やや調子悪いです。Google謹製でサーバーとの通信回数が多いアプリは不安定になりやすい印象です。逆に dマガジンアプリなどは GSpaceを使うしかなかったのですが、全く問題ありません。
MatePad は micro SDスロットを完備!本機はは容量が32GBしかありませんが、micro SD を挿すことで内蔵ストレージとほぼ違いなく使用することができます。公称は最大512GBまでですが、手元にあった1TBのMicro SDも認識しました。
実は「最高のAndroidタブレット」と名高い Xiaomi Pad 5 を購入予定だったのですが、micro SD非対応とのことで断念…。micro SDスロットは何かと便利なんです!
microSD で大容量化することで、これまで自炊した本や、音楽などのメディアをすべて持ち歩けるようになりました。タブレットを買い替えたときにも microSD を差し替えるだけなので運用も簡単です。
microSD スロットの有無は、気にならない方と重要視する方がハッキリ分かれるところ。microSDを使いたい方には、MatePad が最右翼のタブレットになるでしょう。
大容量化することで1200冊ある蔵書もしっかり収まりました。Perfect Viewer は Amazonアプリストアでインストール可能なので、自炊した本も問題なし。2000×1200という解像度は、特にコミックに最適。上の画像のようにピタリと収まります。
やや高解像度で取り込んだ画像ファイルですが、サクサク読み込んで描画してくれます。Kindle Fire HDだと少し気になったモタつきも全く感じません。
Amazon Prime Video は HD再生に対応。一見すると当たり前ですが、格安タブレットの中には非対応のものも多いです。Widevine L1(デジタル著作権管理の評価規格)に対応している、と書かれていても HD再生できなかったりイマイチ基準がわかりませんが、少なくとも MatePad は問題ないようで一安心。
あまり期待していなかったharman kardonによるチューニングサウンドですが、「おっ、意外にスゲエ」と驚くぐらいの音質はあります。iPadと比較しても、MatePadに分があるでしょう。特に低音は頑張っています。映画や音楽を出先で少し楽しむぐらいなら十分な音質です。
総括
GMS対応さえしていれば「安価なオールマイティ機」と太鼓判が押せた本機。それゆえにGoogle(および米国)から脅威と見做されたとは皮肉な話です。
GSpaceはGoogle謹製のアプリを多用している方や、ビジネス用途などメインタブレットとして使うにはやや信頼性に欠けます。Google Playにしかないゲームをプレイするにも、本領を発揮できない可能性が高いです。
逆にいえば本機で使えるアプリや、GSpaceで回避ができそうなら俄然買いの一台。特に読書や動画鑑賞用途にはおすすめできます。スピーカーの音質も良好で、microSDスロット完備で容量も心配なし。この価格帯ではライバルのいない性能を持つタブレットです。
判断材料は「GMSナシで大丈夫な自信があるか?」です。自分でトラブルに対応できる、ITリテラシーがある方には素晴らしい一台。私はとても満足してますよ~!
本日はこれにて。最後までお読みいただき、ありがとうございました。