革製品、特に革靴をケアするときにはブラシが欠かせません。大切なアイテムをケアする道具ですから、品質の良いものを使いたいものです。
私が使用しているのは、無印良品が展開する Found MUJI のひのきブラシです。
浅草とブラシ
ブラシの毛が硬いもの、柔らかいものの2種が用意されていて、双方とも馬毛が使用されています。
このブラシ、実は東京の浅草で伝統的に作られているものなんです。
明治時代の初頭、浅草には靴工場や職人の育成所が多く作られることになりました。それまで反物の色付けや絵を描くのにつかうハケを作っていた工場は、時代の変化に伴い靴や洋服のブラシへの製造へシフトしました。
東京産材のヒノキを使ったブラシは、水路の多い都市である東京の文化を支えてきた、生粋の下町生まれ・下町育ちの業務用ツールなのです。
Found Mujiとは
Found Mujiについては公式にて以下のように説明されています。
2011年に誕生したFound muji(ファウンド ムジ)は無印良品の原点とも言える上質なセレクトショップです。
無印良品が行う、各地域に残る特色や文化を現代生活に採り入れ、楽しみ、そして次の世代に継承するプロジェクトです。
永く、すたれることなく活かされてきた日用品を、世界中から探し出し、それを生活や文化、習慣の変化に合わせて少しだけ改良し、適正な価格で再生した商品をご用意しました。
要するに、Found Mujiとは伝統的な日本製品をピックアップして紹介してくれるプロジェクトという訳です。
私はこの Found Mujiがとても好きで、定期的に足を延ばしてラインナップを確認しています。近くにあっても意識することのなかった、品質の高い日本製品を手に取ることができるのは、他では得難い体験です。
そのプロジェクトのおかげで、あまり一般に流通していない浅草のブラシを容易に、手に入れることが可能になった訳です。ありがてぇという他ありません。
…東京にヒノキなんてあんの?
これがあるんです。詳しくは以下を。
主要部分を抜粋すると
日本は国土のおよそ3分の2が森林で覆われ、木材資源が豊富な森の国。
(中略)
大都会東京には森の自然とは縁がなさそうなイメージがあるかもしれないが、東京都の総面積の約4割は森林で約8万ヘクタールもの森林面積になるという。そのおよそ7割が集中しているのが東京都の多摩地域西部 (※3)。あきる野市、青梅市、八王子市、奥多摩町、日の出町、檜原村の6市町村があり、スギ、ヒノキの産地となっている。
つまり多摩は東京の林業地なのだ。
多摩で生産されたヒノキが、浅草まで運ばれてブラシになる。地産地消とは地方のための言葉ではなく、まさに首都でも行われているのです。
東京で、歴史を持ったシブいブラシを、地産地消で作ってるって最高にクールじゃないですか。こういうモノの持つ背景にグッとくると、たまりません。
ブラシの用途と品質
私が行っているのは一般的な靴磨きで、日常使いの後には全体に柔らかめのブラシを、定期的に行うスペシャルケアの最後に硬めのブラシを使用しています。
ブラシの品質ももちろん高いです。ブラシによっては使うと毛が沢山抜けるようなものもあるのですが、そういうことは皆無です。目も細かく、毛の硬さもほどよいので使い易いです。ヒノキの香りもすがすがしく心地よいです。
ブラッシングを行うとホコリなどの細かい汚れが除去できるほか、程よい刺激によって革がツヤを取り戻します。たかがブラッシングと侮るなかれ、少し手間をかけるだけで革製品を気持ちよく、長く使うことができるようになります。
価格はやや高価と言わざるを得ませんが、シューケア用のブラシで言えば中ぐらいの値段設定。品質から考えればかなり頑張っている価格設定だと思います。
世界的有名企業であるブランドのシューケアブラシと比較しても、このブラシの品質はかなり高いと言えることを強調したいです。コレを見つけるまでは他社のものを使っていましたが、今はコレ一本。使い勝手、仕上がり、耐久力、どれをとっても負けていません。
言いたいことがあるとすれば、もう一回り大きいサイズが欲しい、ということぐらいです。持ちやすくて交換の持てるサイズ感なのですが、ブラシ面の面積がやや小さいとも言えます。ブーツぐらいの大きさになると、コレがケアの時間に跳ね返ってきちゃうので、もう少し大きいものがあるととっても助かるんです。全然、許容範囲ではあるんですけどね。
おわりに
他にも爪ブラシとキッチン用ブラシを愛用しています。
どちらもシューケア用として使っているので本来の用途とは違いますが、品質は折り紙付き。特にキッチン用ブラシは汎用性が高そうな形をしているので、細かいところの掃除などにも使えそうです。
他にも刷毛や筆などが店頭で販売されています。見るだけでも楽しいラインナップなので、ぜひに店頭でも!
本日はこれにて。最後までお読みいただき有難うございました。