「好きなイスは?」と訊かれて即答できるでしょうか?数多くのデザイナーズチェアがある中でも、私は「Knoll社のポロックチェアだ」と答えます。
学生のときから「就職したらコレを買うんだ」と決めていて、社会人2年目の時に購入。愛用していたものの部屋が手狭になったため手放しましたが、やっぱり忘れられずに再度手に入れました。もう手放さないぞ。
Knoll社について
説明するまでもないかも知れませんが一応。Knoll(ノル)社は1938年にニューヨークで設立されたアメリカのデザイン会社です。おもに家具、それも高級な家具が有名です。
ミッドセンチュリーと呼ばれる家具は、Herman miller社のものかKnoll社のものを指していることが多いです。それほど有名な作品が多く、有名なデザイナーを抱えた企業なんですね。
当時から現在に至るまで、ずっと作り続けられている名作も数多くあります。ポロックチェアもその一つです。
ポロックチェアとは
チャールズ・ランドルフ・ポロックが生み出した名作チェアが、ポロックチェアです。デザイナ本人の名を冠していることからも判る通り、彼の代表作でKnoll社の代表作の一つにもなっています。
1963年に誕生したこのチェアは、スミソニアン博物館、メトロポリタン美術館などに「実用的な芸術品」として展示されています。
ポロックチェアの特徴は抽出アルミニウムフレームです。よく見ると、断面が楕円形になるような形状をしています。座面と背もたれを囲うように配置されています。
このフレームは構造的にサポートとしての役割を果たすだけでなく、クロムメッキが施されデザイン性にも寄与しています。
フレーム内のシェルはポリプロピレン製。張地の中身には高密度ウレタンフォームを採用して、長時間使用してもヘタることのない耐久性と座り心地を担保しています。
ポロックチェアのおススメな点
そらもう誰がなんと言おうと、その外見です!私、一目ぼれしたぐらいですから。
金属のもつクールさ、モコモコの座面が持つキュートさ、まるでOAチェアのような質実剛健さのどれをも併せ持ちつつ、デザインが高いレベルでまとまっています。ゆえにシーンを選ばず使うことができるんです。
レザーが醸し出す適度なエグゼクティブ具合。座面はキルティングを彷彿とさせてカワイイのに、シュッと洗練された足回り。バランスが絶妙です…
もはや時代的には「ビンテージ家具」に該当するチェアですが、ちっとも古臭く感じません。現在も生産され支持されているのは、その証左ともいえます。
もちろん外見だけでなく座り心地も良好。リモートワークが始まる前はそんなに長いこと座ったことがなかったので正直不安でしたが、全然問題なし。さらにこのチェアに愛着が増しました。
座面はレザーの他にもファブリックがありますが、断然レザーがおススメ。そしてカラーはキャメルを推します。
タイムライフチェアやソフトパッドチェアなども同様ですが、ミッドセンチュリー家具のキャメルってとても美しい。
ポロックチェアのイマイチな点
仕方のないことですが、1968年に発表された時からメジャーアップデートがないので、最新のOAチェアなどに比べると痒いところには手が届きません。
調整できるのは座面の高さとリクライニングぐらいで、他は全くです。最近のOAチェアは手軽に高さを変えられますが、ポロックチェアは多少面倒です。
肘置きも固定なので、エルゴノミクスなデザインとは言い難い。ヘッドレストも当然ありません。
また、背面・座面がレザーなので夏場はムレやすい。メッシュタイプなどに比べればポロックチェアに通気性は皆無と言っていいでしょう。
ポロックチェアの実用性は「ビンテージ家具の中では良好」ですが、OAチェアとは比較になりません。主にデザインへの投資と考えた方が良いと思います。
ポロックチェア、どこで買うか問題
Knoll社の公式オンラインストアで買うことも可能です。…しかし超高い。
肘置きつきで座面がレザーとなると、だいたい3000ドルほどの価格設定。日本円にして33万円程度です(2021年9月現在の為替)。しかも海外からの発送で送料が別。国内の正規店で買うと40万円ぐらいです。そりゃあ無理だわよ。
そこで私が推すのは中古市場。ポロックチェアは大体6~7万円で流通しており、結構状態が良いものも出回っています。ホテルやオフィスなどで導入しているところも多いので、中古市場にまとまった量が流れ込むことも多く手に入れ易いです。
ビンテージ家具を個人間取引で買うのはおススメしません。多少高くても信頼のある家具屋で、試しに座ったうえで購入することをおススメします。
おわりに
会社ではハーマンミラーのセイルチェアに座っています。こちらもデザインが良くて座り心地も良い。でも家には「どこからどう見てもOAチェア」というイスを置きたくなかった。
そういう時には、古くからあるチェアがしっくりきます。いまだにHerman millerやKnollの家具に人々が目を向けるのは、デザインも機能性も現代のものと遜色ないレベルでまとまっているからなのは間違いありません。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。