デジタルカメラやハンディカムの記録媒体で重要なのは、第一に転送速度です。保存がモタつかなければシャッターチャンスを逃しにくくなりますし、何より快適でストレスフリーです。第二に読み込み速度とタフネスさでしょう。せっかく撮った大事な写真が事故で失われては大変です。
いずれも高い水準で満たしているSDカードは、SONY の 【TOUGH】 SDカード。本記事では TOUGHを紹介しながら、その長所や本体構成を紹介。他社のSDカードとの速度比較などをしていきます。ぜひ最後までお付き合いください。
SONY TOUGH レビュー
開封
今回購入したのは 型番で言うと 「SF-M128T」となります。更に高速化を実現した「SF-G128T」もありますが、私の用途にはオーバースペックだったのでコチラのグレードにしています。
同梱物は SDカード本体のほか、SDカードケースと取扱説明書が付属。いわゆる「プロ用記録メディア」によくある、ちょっとオサレな箱入りです。
ネットで安いところを探してたら海外リテール品がたくさんヒット。並行輸入品も悪くはないですが、国内で保証が受けられないかも知れません。数百円の違いしかなかったので、ここはケチらず国内正規品のチョイスをおすすめします。
本体レビュー
シンプルながらインパクトのあるデザインのSDカードです。鮮やかなイエローバックに、ヘルベチカフォントでシンプルに描かれた「TOUGH」の文字がカッコいい。下部には容量のほか、読み書き速度や各規格について記載されています。
本体としてはシンプルに普通のSDカード… と思いきや、「なんか、硬い!?」。ちょっと触っただけで分かる、従来のSDカードとは何か違う感じ。少し重たくてガッチリした印象は、まるで樹脂や金属のようです。
それもそのはず、TOUGHは一体成型を実現した世界で初めてのSDカード。これによって強靭性と防水性が大幅に強化されています。
曲げ強度は実に従来の18倍、防水防塵性能は驚異のIP68で、最高等級の防水性を保持。泥水に落としたって大丈夫なSDカードなんです。
防水防塵性を担保するため、TOUGHにはライトプロテクトスイッチがありません。思い切った仕様カットですが、個人的にはあのスイッチに助けられた記憶が無い…。何ならスイッチがうっかりスライドしてて編集できず、ぐぬぬ…となったことの方が多いぐらい。この判断は英断だと思いました。
SDカードの端子面近くには「リブ」と呼ばれる凹凸があるのがスタンダードですが、それも排除。端子も本体とツライチになっており極めてフラットです。
ご覧のように他社製のSDカードと比較すると、そのミニマルさがわかります。
SDカードを抜き差しするときに、リブやライトプロテクトスイッチが引っかかる…というような経験をされた方もいるかと思いますが、その心配は無用。引っかかった結果、破損したパーツが内部に残って二次的不具合になる…というような事故も未然に防ぐ仕様になっています。
Pro Gradeとの読み書き速度比較
カメラ用の記録メディアとして人気なSDカードとして、「ProGrade」が筆頭に挙げられます。高速な読み書き速度と信頼性で、高い評価を得ているSDカードです。TOUGHもProGradeもプロ用途で人気を二分しているSDカードですが、今回はこの2枚の速度比較をしてみます。
公称値ではTOUGHの方が有利ですが、実測値ではどうなのでしょうか。「CrystalDiskMark」にて速度比較を行います。
どちらも公称値より1割程度落ちる転送速度でしたが、こんなもんでしょう。Readもさることながら、TOUGHはWriteの速度が大きく上回っています。どちらも優秀な読み書き速度ですが、高速連射や4Kでの動画撮影に関してはTOUGHの方が有利でしょう。
ProGradeは GOLD 250Rグレードで 128GBの実売価格は8000円台。TOUGHのSF-M128Tは12000円台です。転送速度に加えて本体のタフネスさ、信頼性もTOUGHに分がありますが、そこらへんが4000円の付加価値と捉えるべきでしょう。
使用感レビュー
TOUGHの想定用途はもちろん写真や動画の撮影です。果たして使い心地はどうなのか?を検証するにあたり、フルサイズ機であるα7Sにてテスト撮影しました。
SONY TOUGHで高速読み書きの恩恵を受けるには、カメラ側が「UHS-II」という規格に対応している必要があります。基本的にはフルサイズ機に採用されている規格なので、APS-C機やコンデジなどでUHS-II規格のSDカードを使うことには殆ど意味はありません。ご留意と事前のチェックを忘れずに。
読み書き速度としては「快適」の一言。1枚1枚撮影する分にはあまり分かりませんが、高画質設定での連写で真価を発揮します。RAW+jpegの設定でも20連写、RAWのみの保存なら40連写でもタイムロスなく保存が追いついてきます。日常使いだけでなくプロ用途にも耐えうる速度でしょう。
4K動画撮影時も保存がスピーディ、4K60pの映像も問題なしです。SONY機あるあるの熱暴走(後述)もなく、安定した使い勝手でした。
UHS-II非対応のAPS-C機でもテスト。写真撮影に関してはいつも通り安定…というか、結構遅めのSDカードと比較してもあまり違いを感じません。UHS-Iは転送速度が104MB/sで頭打ちになるので、そりゃそうですね。
しかし恩恵が全く無いわけではありません。特にSONYのデジカメなどは、相性の悪いSDカードで動画を撮っていると熱暴走することがあります。しかしTOUGHはさすがSONY謹製、まったく安定して動画を撮り続けることができました。
UHS-II対応機用でなくても、安定性やタフさだけでTOUGHを選ぶ理由に十分なると思いました。特にSONY機との相性は折り紙付きです。
試しに水没させてみましたが、まったく問題なし。SDカードは何度も抜き差し、読み書きされ、時に落としたりしながらハードに使われるもの。せっかく撮った写真が事故で失われたら最悪です。記録媒体がミニマルに、頑丈に作られているのは思った以上に安心感がありました。
中でもライトプロテクトスイッチの廃止は、他社でも推進していって欲しい!あれってストレスでしかなかったな…としみじみ実感しました(笑)。
まとめ
高速なSDカードは他社からもリリースされていますが、TOUGHほどのタフさを持つSDカードは他にありません。RAWデータでの高速連射に追いつける転送速度に加えて、泥水に落としても問題ないタフネスさがTOUGHの魅力です。
データを事故で失うと損失が大きいプロ用途には最適なSDカードと言えます。同速度のSDと比較するとやや高価ですが、本体が壊れにくいのでランニングコストとして損することは無さそう。SDカードが壊れた、データが失われたトラウマがある方にもTOUGHをおすすめします。
UHS-II対応のカードリーダーがあると、写真のバックアップを取るときにもスピーディ!高速な機器で揃えるととっても快適ですよ~
本日はこれにて。最後までお読みいただき、ありがとうございました。