iPhone15(無印)を購入しました。iPhone15 Proを2台予約してたんですが、店頭で触って「カメラ、無印と大差ないやん」と思ったので1台キャンセル。その場で無印15を買いました。スマホでゲームしないしチタンもそんな興味ないし、差額の3.5万を新しいレンズ代に回そうグヘヘ… と画策したのは内緒です。
14とほぼ変わりないんでしょ?と思ってた15無印のカメラ、結構頑張ってます。Proでなく無印を選んだのは、無印のカメラが確実に進化していたから、というのもあります。というわけで iPhone 15(無印)の実際の作例を示しつつ、フルサイズミラーレス一眼と比較してどれぐらい違うのか?を紹介していきます。
土台無茶な勝負だが…
無加工写真の良し悪しはセンサーサイズで決まる、と言って差し支えないほどセンサーの大きさは重要。iPhone15のセンサーサイズが 7.9×6mm(47.4平方ミリ)、iPhone 15 Pro が9.9×7.4mm(73.26平方ミリ)と言われていますが、フルサイズミラーレス一眼は 36×24mm(864平方ミリ)と圧倒的。文字通りケタ違いなので、土台無理な勝負な訳です。
しかし技術進化により両者の差が縮まっているのは間違いない。そしてAppleには「画像処理の上手さ」があります。カメラのスペックだけで言えばAndroidにはより光学的に優れた機種がありますが、Appleは「あ、なんかキレイだな」と思わされる味付けが上手い。CPUのスペックはそうでもなくても、OSの最適化が上手いから Androidよりサクサク動く、という構図に似ています。
「写実的か否か」という観点では一眼に及ばずとも、色合いや陰影の付き方、ノイズ等の要素で、結果的に iPhoneの方がキレイに見える…ということは十分にあり得ます。
Pro/Pro Maxの方がいいのか?
Appleは iPhone15 Pro について「7種類のプロ用レンズをポケットに」とプロモーションしています。3つのカメラを駆使してマクロやら望遠やら7種類の撮り方ができますよ、ということを言っている訳ですが、無印が Proに対して明らかに「持ってない」カメラは2つのみです。
・Proは3倍、Pro Maxは5倍 望遠レンズを装備
・超広角レンズが最短2cmまで寄れるマクロレンズになる
上記2種類のカメラは、Pro以上にのみ搭載。また、RAW撮影できるのもPro以上です。この3点の違いに魅力を感じるか?がPro以上を選ぶかどうかのポイントです。
逆に言えば、0.5倍・1倍・2倍で撮るぶんには、撮れるモノは無印もProもほぼ変わりありません(厳密に言えば色々違いますが、横に並べて比べれば分かるレベルの違いです)。メチャ寄りたい・メチャ望遠で撮りたい、とかでなければ無印で十分とも言えます。
カメラに限って言えば、15になってProと無印の差はかなり縮まりました。個人的にはRAWで撮れさえすれば無印で全然良いんですけどね…。そこを切り分けてる所がちょっとヤラしい。
一眼とiPhone15の写真比較
ゴタクはさておき、さっそく作例で比較していきます。Lightroomでイジって…ってやれば同等の画像が作れることは分かり切ってる(ほぼ画像編集なので)ので、基本は「撮って出し」で比較します。iPhone側の設定はJPEG形式24P保存、解像度コントロールはONの状態で撮影。フルサイズカメラはSONYのα7C、レンズはフェアに(?)キットレンズを使用します。
無圧縮比較写真をガンガン乗せるとブログの容量が厳しいので、どちらも200KBまで圧縮した状態です。一眼が3:2、iPhoneが4:3とアスペクト比が異なるのはご容赦を。
iPhoneは味付けが更に濃くなった
先に書いてしまいますが、iPhone15は色味のバランスがより「映える」方向に振られたと感じます。14でもその傾向は十分にありましたが、15では更に加速した印象。発色を強調しつつ、明度差が小さく処理されてます。良く言えばエモーショナルな味付け、悪く言えば盛ってる感じです。
撮影している時は違和感ありませんでしたが、一眼の写真と並べるとよく分かりますね。現像ソフトを使わずともSNS映えする加工が予め施されてる、とも解釈できます。
接写が相変わらず良い
iPhoneは接写が得意。表現力・奥行き感こそフルサイズに劣るものの、iPhoneもディティールはしっかりしてます。無印はF1.6と明るいレンズを積んでるので、接写ならポートレートモードを使用せずとも背景は自然にボケてくれます。
直射日光下で撮影しましたが、陰影が潰れ気味になるのが少し惜しい。地面に対する光の当たり方からすると、iPhoneの光の当たり方はやや不自然に見えます。ここら辺はコンピューティショナルフォトの弊害ですね。
こちらも自然光で。1倍での撮影ですが、ポートレートモード不使用だと30cmぐらいの距離でもちょっとボケが弱く感じてきます。先の画像ほどの色味の違いはなく、カラフルなものを撮影するときに比べれば実直な画像処理。細部まで映しているので、硬くてカッチリした雰囲気がよく出てます。
こちらは照明+レフ板を使いながら撮影。写真の良し悪しは光の当て方で決まると言ってもいいほど重要なわけですが、それはスマホカメラでも同じ。質感も立体感も十分。無機質なプロダクトを撮る時は、やっぱり実直な印象ですね。
観葉植物。こちらも自然光ですが、グリーンの発色は不自然さもなく美しい。細部までクッキリ描画できています。ポートレートモードを使ったり、Lightroomなどを使って背景ボカせば匹敵するクオリティになるでしょう。
物撮り・食べ物撮りは実直
物撮り。革の質感表現に一歩劣る感はありますが、パッと見た印象では違いが分かりません。何となく、ブラウン系のやや発色が悪い気がしますね。メタリックや黒の表現はなかなかのものです。背景の大理石については iPhoneの方は白飛びせず、キレイに描写できています。
私のブログでは画像サイズは 横1024pxに、サイズは50kbまで圧縮してアップしますが、その用途であれば iPhone15でも全く問題は感じないレベル。デジイチの画像と真横に並べて「やや表現力が劣るかな?」程度なので、ブログの画像ならまず違いは感じられないと思います。
食べ物。α7Cで撮った豚丼のほうが美味しそうですね。iPhoneの方は茶系の発色が悪いことに加え、明度差が小さいことでテリ・ツヤがやや失われた画像になってます。肉系の料理写真を撮る場合はRAW現像や加工を前提にした方が良さそうです。
スイーツを適当に。やはり美味しそうか否かの観点で言えば、やはり色味の点で見劣りします。加工したくなりますね。基本的に飲食店は室内で、撮影環境としては薄暗いから、というのも影響しているかも知れません。
近景は一眼に迫ってきてる
接写はこれくらいにして、ちょっと離れて撮ってみます。
デスク。だいたい2~3mほど離れて撮ってますが、ズームで微調整ができるのがやはり便利。微調整だと光学ズームでなくデジタルズームになっちゃうわけですが、補間が上手いのか結果に大きな差異は感じません。味付けは違えどディティールは同程度にありますし、表現力としても迫るものがあります。
ポートレート。無加工でも悪くはないものの、やはり背景がボケないのでかなり分が悪いです。素直にポートレートモードを使った方がいいでしょう。今や半ば当たり前となってきた画像処理技術ですが、やはり大したもの。被写体の解像感、質感を変えることなく背景だけをキレイに処理してくれます。
空の解釈がダイナミック
撮ってて気が付いたのは、空の表現力の高さ。上の2つの写真を比べて、空だけで言えば「右のほうが良い」と答える人は多そうです。当日は曇天だったので印象としては左画像の方が近いのですが、写真として映えるのは右ではないでしょうか。空を判定して画像処理を走らせてるのか?というぐらい差が出ます。
空の処理として分かりやすいのがこの例。2枚の写真はほぼ時間差なく撮ったものですが、空が全然違う。iPhoneの方が広角になってしまったことを差し引いても、雲の陰影、雲間の空の色が違うのは見て取れるでしょう。
どちらが写実的か?はさておき、どちらが映える、SNSウケする写真か?で言えば、右の写真でしょう。まさに、記録に残る写真というより記憶に残る写真です。
黄昏時。やや暗いのでセンサーサイズがモノを言います。建物などのディティールはフルサイズに分があるものの、やはり空が印象的な色合いに映っているのは iPhone15でしょう(撮影時刻は20秒ほどしか変わりません)。空は写真で多くの範囲を占めることが多いので、そちらに味付けのウエイトを持って行ってるのは上手いなと思いました。
「薄暗い」場所が苦手?
自然の中で。曇天時の林で撮影しているので、やや暗い場所で撮影しています。
最近のスマホはナイトモードなど暗所での撮影に強みを見せていますし、もちろんiPhoneも例に漏れません。しかしナイトモードを使う程ではない「薄暗い」シチュエーションがやや苦手な傾向があります。上の写真で分かる通り、細部は表現しているもののコントラストと発色に欠ける写真になりました。
ショッピングモールのイベント、こちらもやや暗い環境です。iPhoneのほうはやや色が褪せて、元々の色から少し離れた発色に。奥行き感もかなり感じられなくなっています。やや広角にした(0.5~1倍の間)ことにより、デジタルズームになったことも影響しているでしょう。
暗所は悪くない。しかしフレアが…
こちらはナイトモードを使用して撮影。明度差が小さく処理されているのが分かりますね。暗所撮影でもiPhone独自の味付けが強く感じられます。
現実に近いのはもちろん左側ですが、iPhoneの写真が変な訳でもありません。ISO感度が高い感じですが、ノイズは最小限です。情報量として多いのは iPhoneの方でしょう。メリットで言えば、やはりSNSや記念写真向き。影で情報が潰されませんし、影が薄くなることで顔全体のトーンが上がって見える、などの効果がありそうです。
こちらもナイトモード。暗所の撮影は味付けこそ違えど、確かにキレイに撮れます。パッと見て分かるようなノイズも最低限です。ディティールが潰れないように明度を調整しているのか、照明で質感が飛ばないように配慮されている印象を受けました。
しかしご覧のように、iPhoneの方にはいつものアレが。そう、フレアです。電灯周りに出てる光の線がそれです。iPhoneXぐらいからある有名な問題で、レンズが汚れてるとかでもなく光の加減で出てしまいます。そろそろ対応入るかな?と勝手に期待してましたがダメでした。ゴーストもフレアも普通に入ります。
ProもPro MAXも確実に同じ問題があるでしょう。夜間撮影をプッシュするならココは対処してほしいですね…。
光学2倍ズーム
ご存じの通り、iPhone15は画質の劣化がない2倍の光学ズームを搭載。無印としては初!めでたい。2倍もズームできりゃ全然OKよ、という人には無印で十分ってことになるかも知れません。
ご覧のように0.5倍から2倍でここまで変わります。2倍って思った以上に寄れるな、と思いました。そこらへんで売られてるミドルクラスのコンデジより全然性能良いです。無印14から見ればスゴイ進化。
上の画像は写真の一部を切り出したもの。切り取って拡大してみても、細部の再現度は大したもの。レンガ模様の細かい線や質感も表現できています。
こちらも切り出しです。文字など細かい場所を切り出すとさすがに少しボヤけて見えますが、相手がフルサイズ一眼なのでそりゃそうです。大健闘です。画像処理の上手さも相まって、APS-Cとまではいかなくても、1インチセンサー搭載機ぐらいの画質は出てるんじゃないかと思わされます。
ズーム、メチャ使えます。撮り方の選択肢が劇的に増えるので、無印が2倍ズームを装備しているのは偉大。ミラーレス一眼のサブ機は、もうiPhone15で良いかも知れない…!
まとめ
今回紹介した写真は全て、難しい設定ナシで標準アプリで撮ったもの。もちろん無加工です。何も考えずにレンズを向けてシャッターボタンを押すだけで、それなりのクオリティの写真が撮れるのは凄い!環境さえ整えば一眼に迫る写真が撮れることはお判り頂けたのではないかと思います。ブログ、SNS用などであればまず問題ないレベルの写真が撮れるでしょう。
とはいえプロ用途・商用にしたりするには、ちょっと工夫が要ります。iPhone15の画像処理はまあまあ装飾気味なので、別アプリを使う・Lightroomで加工する・Proを選んでRAW現像する、など「もう一手」が必要でしょう。
個人期にはカメラ性能はiPhone15で十分なものの、RAW撮影できないのがちょっと痛い…。撮れたものをそのまま使うとか、Lightroomでちょっとイジるぐらいで満足なユーザーなら、間違いなく無印で十分。ブログやSNS用の写真もこなすメイン機になってくれる可能性すら秘めてます。動画も4K60fpsで撮れるので、最強のVlog機かも。
RAW撮影したい!望遠もマクロもガンガンにやりたい!という方は Pro か Pro MAXの検討を。ひと昔は「プロユースもイケる!」と半ばステマっぽく言われてましたが、今は結構マジです。現像ソフト通せばプロ用途にも使える成果物が出せるでしょう。昔と立場が逆転して、Proに対抗できるデジカメが少なくなってきたとすら思います。
APS-Cをサブ機にしてましたが、iPhone15がめでたくサブ機の座に収まりました。今後ブログやSNS用の写真撮影に活躍してもらおうと思います。お手軽で良いですよ~!
今回はこれにて。最後までお読みいただき、ありがとうございました。