数年前に話題になり、もはや夏の定番アイテムとなった感のある「空調服」。背中にファンがついて、見るからに涼しそうですよね。とはいえまだ作業服のイメージが強く、普段使いとしてはハードルがちょっと高いかも…と思っている方も多いことでしょう。私もその一人でした。
しかし今年は遂に買ってみましたよ!アウトドアブランドであるKiuと空調服のコラボアイテム、【Kiu エアコンディションドベスト】です。このベストを紹介しながら、空調服って本当に涼しいのか?もっと安いやつじゃダメなんか?そもそも空調服って何?などについても解説していきます。
空調服とは?
空調服とは、株式会社空調服が販売している「電動ファン内蔵上着」です。東京都に本社を置く株式会社セフト研究所が親会社で、開発もそちらで行われています。社長である市ヶ谷弘司氏がソニーを早期退職して作った会社で、創立は1991年です。
市ヶ谷氏は1998年に空調服の開発をはじめ、6年がかりで完成。開発当初は水冷式でしたが実用化の難しさから最終的には空冷式が採用され、2004年に発売されました。
近年の技術進化でモバイルバッテリーがハイパワー&大容量化し、実用性が高く進化。熱中症対策への関心の高まりなども後押しして、2010年代半ばからプロの現場などで積極的に採用されるようになりました。
「空調服」というのは商品名で、一般名称ではないんですね。空調服=セフト研究所が許可した製品、ということになります。マジックやホッチキスと同じですね。
空調服で涼しくなる原理
空調服は、衣服と体の間に大量の風を送り込むことで「汗の気化」を促進します。汗が蒸発すると気化熱で体温が下がりますから、それで涼しく感じるという訳です。人がもともと備えている汗を蒸発させて体温を下げる生理現象を応用・促進して、快適な状態を保ってくれるんですね。
Kiu とはどんなブランド?
Kiuは「キウ」と読みます。本社を大阪に置く株式会社ワールドパーティーが展開するブランドのひとつで、レイングッズやアウトドアグッズを数多く展開しています。ブランド名の由来は「喜雨」からで、干ばつが続いたときの恵みの雨、喜びの雨を意味しています。
デザインは全てオリジナルで制作。ブランドの人気アイテムはレインポンチョです。耐水圧、通気性、耐久性に優れた素材を使用し、アウトドア愛好家やフェス好きにとっては「定番」と言っていいほど浸透しているブランドです。
野外フェスやアーティストのコラボがメチャ多くて、オシャレなアイテムやウエアが揃っているのも特徴。そんなブランドが手掛ける空調服なら、きっとオシャレなはず!
エアコンディションドベスト レビュー
開封
さっそく開封していきます。
こちらはエアコンディションドベスト。冒頭で載せた写真のポーチに、ベストが折りたたまれて収納されています。パッカブルタイプとは知らずに購入したので、ちょっと驚きました。収納ケースが付いてるのは嬉しいですね。
3色+4柄の7種が展開されており、バリエーション豊か。私は一番日光を吸収しにくそうな「ライトグレー」をチョイスしました。実用性重視!
背中のワキ腹付近にはファンを設置するための穴が開いています。ファンを設置しないときには穴を閉じられるようになっているので、シーズンオフなどにベスト単体で着用することもできるようになっています。
こちらはスターターキット(冒頭写真の黒い箱)の中身。エアコンディションドベストとスターターキットは別売なので、空調服として使うのなら一緒に購入する必要があります。
サイズ | 86×50×26mm |
重さ | 143g |
定格容量 | 3250mAh |
充電時間 | 約4時間 |
運転時間 | 4~20時間 |
風量 | 10.0~18.3L |
出力 | 3.3~7.2V |
バッテリーはコンパクトながら最大7.2Vという大出力。最大出力なら4時間、最低出力で20時間の連続運転が可能です。容量は3250mAhと若干モノ足りませんが、コンパクトさとトレードオフなので落としどころだと思いました。
入出力ポートがUSB規格でないのが惜しい。専用の充電器が必須です。USB Type-Cなら賄える出力と思いますが、なかなかこういう類のアイテムには採用が進みませんね。
使用準備
何はともあれバッテリーを充電しないことには始まりません。充電が完了するとACアダプターのLEDがグリーンに変わるので、それまで空調服を組み立て(?)ていきます。
ベスト背面の穴にファンを設置していきます。ファンとケーブルをベストにセットして、あとはバッテリーを付ければ動かせる!という状態にします。
ファン取り付け部はフタがされた状態になっているので、2か所留められたスナップボタンを外して穴の開いた状態にします。もちろん左右ともです。
ファンについているリングを外して、まずはファンだけ穴に設置します。そして生地の裏からリングを再度取り付けて固定。リングは両サイドから少し力を加えて外す感じの少し変わった仕組みなので、最初は戸惑う方が多いかも。2~3度やればコツを掴んで慣れます。
リングの裏表には「L」と「H」の表記があり、生地の厚さでどちらにするか決めよ、と説明書に記載がありました。Kiuのベスト側には指定がありませんでしたが生地は薄いので、右上の写真のように「L」を手前にしてリングをハメています。
あとはケーブルと左右のファンを接続して、ベストのマジックテープで留めたら準備は完了。バッテリーを接続してベストの内ポケットに仕舞ったらいつでも動かせます。
ファンの設置自体は初めてでも5分あれば終わると思います。シンプルで誰もが理解し易い仕組みなので、爆発的に普及したのも頷けますね。
スタイリング
まずはバッテリーの電源OFFで、普通のベストとして着用してみます。
筆者は身長180cmで中肉、比較的ガッチリした体形で、Lサイズを着用しています。膨張色であるライトグレーですが、それなりにスマートに見えます。背中にあるファンを見なければ空調服だとは気づかないスタイリングです。
前を閉じた様子。ちょっとした防寒着にもなりそうです。山のキャンプでは夜に急に冷えたりするので、昼は空調服として、夜は防寒具として…という使い方もできるかも。あまり考えていない使い方でしたが、思ったより便利そうだぞ、空調服。
見た目がオシャレなので、普段着として使うことのハードルはかなり低い印象です。普通に普段着として着れるな!という確信を持ちました。
さて、いよいよファンをONにしてみます。どうなるでしょうか…!
バッテリーの電源を付けると、ベストがファ~と膨らみます。おお…これが空調服…すげえ涼しい…!なにこれ…!思った以上に涼しいぞ…!
スタイリングとしてはダウンベストに近い感じ。着用感はメチャメチャ快適!なんですが、やはり見た目としてはやや野暮ったくなると言わざるを得ません。実用性重視でライトグレーにしましたが、タウンユースを考えてるなら収縮色であるブラック系がいいかも。
どうしても野暮ったくなる理由は幾つかあります。
まずジャストサイズで着用する必要があること。オーバーサイズで着用すると空調効果が弱くなるので、きちんと体のサイズに合わせる必要があります。もう一点は、首元と裾のドローコードをキッチリ締める必要があること。ここがユルユルだと空調服内で気流が発生せず、やはり効果が落ちてしまいます。
つまり首と裾がキュッとした状態&ジャストサイズに着なければいけないので、結構モッチリした印象の見た目になっちゃうんです。なかなか難しいですね。
フードも被ってみます。首回り~頭部まで気流がきて、めちゃ快適…!「着るエアコン」とはよく言ったものです。日光も防げるうえに涼しくて、まさに最強。実用性だけで言えばフードを被った方が高いでしょう。
しかし野暮ったさは加速します…。何というか、「作業服感」がすごい。ファンONだけなら何とか街中でも着れるかな…と思いましたが、フード被った状態でタウンユースはちょっと無理ですね。
快適さは凄いので惜しい!流石のKiuをもってしても、空調服の野暮ったさを完全に払拭できてはいません。とはいえ「比較的、普通に着られる空調服」にまとまっているのは間違いありません。
使用感レビュー
気化熱を利用した服、と聞いてたので「じゃあ汗かいてなきゃ涼しくないのか~」と思ってましたが、そんなことないです。普通に涼しいです。衣服の中で風が巻き起こっている感じ(?)は何だか新鮮ですが、全く不快ではありません。それどころか快適。室内でも着ていたいぐらいです。
サイズ選びとしては「ワキ部分が閉まるかどうか」が一つの基準になると思います。ワキの下が開きすぎるとそこから風が逃げるので、衣服の中で気流が発生せずに快適さが損なわれます。裾と首にはドローコードがありますが腕周りにはないので、試着するときは一つの指針にすると良いでしょう。
首元を少し開けると風が吹き出すので、首元と顔が冷やされて涼しい。特に屋外で使うときなどは気持ちよさそうです。
バッテリー出力が最小でも、ドローコードはキツめにすればかなり効果は感じます。逆に裾と首元をユルめにしても、バッテリー出力を最大にすればそれなりに風を感じます。着用時の見た目を気にするなら、出力を全開&ドローコードを緩めにするなどして、パンパンになってる感じを緩和する…という手はあるかなと思いました。
余談。バッテリーの電源をONにすることでファンが回転するのですが、生地が薄めなので、生地の外からバッテリーを掴めば電源ON・風量調整できます。想定した使い方ではないでしょうが、出先でも簡単に操作できるのでメチャ便利です。
外で着てみる
実際の効果を確かめるために屋外で着てみます。梅雨時ながら気温は32℃。屋外で洗車、車内の清掃をするときに着てみました。じっとしているだけでも汗ばむ暑さ&湿度ですが、果たして空調服の効果やいかに。スイッチオン!
気温の高い、蒸し暑い屋外で使うと、また印象が違います。体感温度は大きく変わらないんだけど、体温が正常に保たれている感じ。エアコンのような即効性のある涼しさではなく、でも不快感が無く爽やか。そう、「爽やか」というのがイメージに近いです。結構動いても汗が出ない!
中に通気性のよいピッタリしたインナーを着ると、さらに効果が高まりました。手持ちのインナーの中ではジャストサイズのエアリズムがピカイチに快適。吸汗・乾燥に強いエアリズムですが、空調服がその効果をさらに促進してくれます。
ベストタイプは腕が回しやすくて、空調服が作業の邪魔になることは皆無。蒸し暑い車内の掃除が苦じゃない。こりゃスゴイ。屋外やエアコンの無い場所で作業をすることが多い方には文句なくオススメです、空調服。
炎天下の中での散歩でも効果を発揮。日差しは暑いものの、上半身は快適です。ライトグレーを選んだメリットがココで光ります。
フードを被れば直射日光から頭も守れて、首まで涼しいので更に快適になります。これならアウトドアやフェスでもイケる!若干の不審者臭があるのが気にならんでもないですが、「ええい、暑すぎる!」というときの保険手段としてフードがあると考えれば、役立ちこそすれ邪魔にはならんでしょう。
女性(身長155cmチョイ、瘦せ型)が着るとこんな感じ。オーバーサイズでスタイリングとしては良好に見えます。しかしワキの下から風が抜けてしまうため、私が着たときほどの効果は得られていなさそうでした。とはいえエアコンが効いた室内だと「寒いまである」とのことだったので、効果としては十分ありそうです。
というわけでKiuの空調服は妻とシェアすることに。夏場の幼稚園の送り迎えにも活躍しそう!一家に一着あるとマルチに活躍する可能性を秘めたウエアです。
まとめ
空調服の効果は前評判通りで、その快適性には文句の付け所がありません。良くも悪くもプロ用だった空調服を、Kiuがうまくデザインしてくれたことで使える幅が広がりました。夏場の作業用としてはもちろん、フェスやキャンプなどのアウトドア、タウンユースなどでも快適さをもたらしてくれる一着です。
Kiuの公式通販でも取り扱いがありますが、おすすめは Yahoo!ショッピングでの購入。ZOZOのYahooショッピング店なら大量のポイントバック付きでおトクです。カラバリは好みでOKですが、サイズは必ずジャストサイズでご購入を!
ファンとバッテリーのセットは別で購入する必要があるので、コチラもお忘れなく。
ポーチ付きでコンパクトに収納できるので、夏場のレジャーには持ってこい!空調服、気になるけどデザインがなあ…という方、Kiuのウエアを試してみてはどうでしょう!
本日はこれにて。最後までお読みいただき有難うございました。