かつて巷を賑わせたアメカジブーム、そして裏原ブーム。RED WINGは90年代後半に爆発的にヒットし、その後スニーカーブームの陰に隠れ、近年になって沸々とブームが再燃してきています。私も戯れに覗いた RED WINGの路面店で アイリッシュセッターに一目惚れ。実に20年ぶりのセッターです。
ブーツって脱ぎ履きがメチャ面倒なので、本記事ではこのアイリッシュセッターの靴ひもをゴム化してしまいます。加えてアイリッシュセッターって何なん?とか、どこで安く買えるか?なども紹介していきます。ぜひ最後までお付き合いを。
アイリッシュセッターって何?
アメリカミネソタ州発祥のブーツメーカー、RED WINGの代表作の一つが「アイリッシュセッター」です。1950年に「854」というナンバーで販売されたブーツの色が猟犬アイリッシュセッターの毛並みに似ていたことから「アイリッシュセッター」というニックネームが付きました。
RED WINGのブーツを見て、アイリッシュセッターかどうか?を見分ける方法は一つしかありません。それは「アイリッシュセッター」のタグが付いている=アイリッシュセッターです。ミもフタもないですがそうなんです。
妙な話ですが、アイリッシュセッターと言う名前を冠しているにも関わらず全然形が違ったりするのはもう当たり前。全く同じ形のブーツなのにセッターのタグがあったりなかったりします。その場合も、タグがあるならセッター、無いならセッターではありません。事実、マジで全く同じカタチなのに型番が異なってたりします。結構メチャクチャです。
RED WINGの正規店でも店員さんとも話しましたが、まず間違いありません。おっセッターじゃん!と思ったら違ったり、なんやろこのブーツ?と思ったらセッターだったり、定義は無いに等しいです。
アイリッシュセッター レビュー
ゴム紐化する前に、何はともあれ開封しましょう。パカッと。
開けるとシューズケースに入った状態のブーツがお目見え。そうそう、こんなんだった、こんなんだった!変わらないねえ。くわえて日本語で詳しいお手入れの仕方が。いわゆる取り扱い説明書です。これは20年前には無かったなあ。丁寧になったもんだ。
というわけでコチラが今回購入したアイリッシュセッター!レッドウイングと言えば赤茶カラーなわけですが、今回はブラックのガラスレザーに一目惚れ。すごいやんコレ、レッドウイングなのにドレッシーやん、ということで衝動買いに至ったわけでございます。
オジサンがアメカジすると正真正銘のオジサンになる(?)ので、このドレス感はありがたい!置いてるだけでも佇まいがオシャレ…
アイリッシュセッターの何が良いのか
アイリッシュセッターの何がいいのか?個人的には2点あります。一つ目は「ワークブーツって便利だよね」ということ。そしてもう一つは「アイリッシュセッターはワークブーツにしてはめちゃ履きやすい」ということです。
ワークブーツとは書いて名の通り、労働者が作業時に履く丈夫なブーツのこと。この「丈夫」という点がポイントで、基本的にはどんな天候でも履けます。革って水に弱いイメージだと思いますが、オイルドレザーやガラスレザーだったら結構濡れても大丈夫。全天候型だからいつでも履けて、丈夫だから手入れさえすれば末永く履くことができる。
無骨な雰囲気ながらレザーの高い質感を持つので、足元からグッと引き締めてくれます。ファッション的な意味合いで「便利」。デニムに白Tでも、ワークブーツちゃんと締め上げて履けばキマります。それでいて全天候なんだから、これを便利と言わず何というか。
雪のときもブーツが便利。滑らないですし。靴底擦り減ったらビブラムにでも変えりゃ、さらなる機能性が手に入ります。レインシューズ、長靴代わりにもなってファッションアイテムとしても優秀。それがワークブーツの長所です。
ところがこのワークブーツ、基本的にはメチャ履きにくいものなんです。というのも、買ったばかりのワークブーツってメチャ硬いんです。これはダナーでもチペワでもホワイツでも基本は一緒。硬くて最初は一日履いてらんないから、徐々に慣らして履いて、自分の形にしていく…というのがワークブーツだったりします。
RED WINGでもアイアンレンジャーやブラックスミスは最初「ギエエ!」ってなるぐらい痛いです。育てる喜びもあるんですが、私も最近はちょっと面倒です…(笑)
その点、セッターは革がやや柔らかめ、かつ足の甲の部分がやや高めに作られているモデルが多いので、痛みが出にくく履き始めでも履きやすいブーツになっています。甲高に設計されているのが日本人に合ってるんじゃないでしょうか。モックトゥであればなおさら甲高で、履きやすくて痛みが出にくいです。
私はかなり甲高な方ですが、セッターを始めて履いた時は「こんな歩きやすいワークブーツがあんのか!」と感動しました。そしてその履きやすさから履き続けました。実のところ、1次ブームの時はそういう人が多かったのではないかと思っています。
ワンサイズ小さめを選ぶべし
店頭で試着した感想は「やっぱ初っ端から歩きやすいよな~」でした。ずっと変わらないモノ作りってつくづく素晴らしい。
ちなみに私はナイキのスニーカーなら30cm、コンバースのオールスターなら29cmを履いてますが、アイリッシュセッターなら28.5cm(ワイズはD)です。型番によってもかなり違うので、できれば店頭で試着した方がいいです!
ただやっぱり感じるのは、「靴ひも結んだり解いたりが面倒だよな~」という点。脱ぎ履きばかりはアイリッシュセッターと言えどやっぱり面倒です。次項でゴム紐化していきます。
ゴム紐に換装
できる限り外見を変えたくはないので、外は織物・中はゴム素材を使用しているゴム紐をチョイス。太さはアイリッシュセッターにもともとついていた靴紐に近い3.5mm。
靴紐は適当なところで切ってアグレット(靴紐の金具)でドレスアップしようと考え、少し長めの140cmを購入しました。
薄っすらゴム紐の方が太いですが、ゴム紐は引っ張られてやや細くなるだろう…という目論見から、これぐらいでいいだろうと判断しました。アイリッシュセッターについてた紐はコシがあり荒い感じですが、ゴム紐の方はしなやかです。
こんな感じになりました。寄ってるので結構違うように見えますが、1mぐらい離れて見るぶんにはほぼ違いは分からないです。先に書いた「コシ」の違いで、標準の靴紐は蝶々結びがピンと張る印象なのに比べ、ゴム紐は垂れるような形になるのは一長一短ありますね。
適当なところでヒモを切って、アグレットをペンチでグッと丸めたら完成。良い感じのドレス感!ガラスレザーの雰囲気ともマッチしてます。
ゴム紐のメリット・デメリット
実際外で履きまくってみました。
アイリッシュセッター自体の履き心地はもちろん良好。先にも書いた通り、海外製の靴にありがちな「足を締め付けられて痛い感じ」は皆無。ガチッとホールドされて、まるで足と同化するような一体感が7ホールブーツの魅力ですね。
タウンユースはもちろん、レジャーや軽い登山ぐらいまで楽にこなすでしょう。まさにオールマイティ。
とはいえ、この「一体感」に関しては付属のシューレースの方が上。ゴム紐にすることによって歩くときにやや靴紐が伸縮してしまうので、ガチッとしたホールド感が薄っすら弱まってしまうためです。裏を返せば足首をある程度柔軟に動かせるメリットもあるので一概にデメリットとはいえませんが、慣れるまでは少し気になりました。
一方で一番恩恵を受けられるのは、もちろん脱ぎ・履きのとき。全体的にヒモを緩めなくても着脱できるようになるので圧倒的に早い。さすがに靴紐を解かずに着脱はできませんが、上部2~3ホールを軽く緩めればOKなのでスピーディ。脱ぎ・履きの時間を少なく見積もっても10秒は短縮可能です。
ホールド感を若干犠牲にするものの、このスピーディさは一度体験したらやめられない…!おかげで履く回数もかなり増えました。おすすめのカスタムです。
まとめ
かつてのブームは去りましたが、相変わらず実直で確かなモノ作りを続けているRED WING。アイリッシュセッターの履き心地ももちろん健在。昔履いてたオジサンにはもちろん、履いたことのない若者たちにも手に取ってみてほしい一足です。
普段スニーカーばかり履く方には特に敬遠されがちなワークブーツですが、ゴム紐にすることでかなり着脱にかかる時間を軽減できるのでおすすめ!丸軸で3.5mm前後のゴム紐を量販店で見つけるのはなかなか難しいと思うので、Amazonなどの大手通販サイトで購入することをおすすめします。
アイリッシュセッターは最近ひそかなブームで品切れが多いとのこと。私も正規店&取扱店に何店舗か行ってみましたが、サイズ抜けがかなり多かったです。特に取扱店は「入荷がいつあるか分かんない」とも話していたので、色々試してみたいなら正規店に行ってみることをおすすめします。
最近はもうアイリッシュセッターばかり履いてます!ガシガシ履いてもヘタらないし、エイジングも楽しみ。リペアしながら末永く履くつもりです。良い買い物したな~!
今回はこれにて。最後までお読みいただき有難うございました。