カメラ沼という言葉をご存じでしょうか?カメラ愛好家が「このレンズが俺の相棒!いや、このレンズか!?」と次々レンズを購入してしまうことですが、私はこの現象に陥ったことがありません。それは 私が貧乏だから 私がEマウント最強のレンズ、SEL2470GM2 を一番最初に買って使い続けているからだと思うのです。
本記事では このSEL2470GM2の何が良いのか?どういう時に便利なのか?デメリットは何か?実際どういう写真が撮れるのか?などについて紹介していきます。ぜひ最後までお付き合いください。
SEL2470GM2レビュー
この度、SEL2470GM2が通電不能に陥りまして、保証期間内ということもあって新品交換と相成りました。というわけで、図々しくも「まるで新品を買った」かのような感じでレビューしていきます。
いきなりですが、先に結論から。詳細は追って解説していきます。
開封レビュー
とりあえず、開封の段階からバカでかいポーチが目を引きます。ご覧のようにSEL2470GM2がスッポリ入る大きさ。バリスティックナイロンのような生地が使われていてクオリティはバッチリ。ストラップもついてて斜め掛けも可能です。
が、正直言って「コレ要らんからチョットでも安くしてほしい」というのが全ユーザーの願いでしょう。いきなりですが、SEL2470GM2を買って一番の不満点はココです。ポーチ要らん!必要やったら自分で買うんよ。使わんわりにリセール時に無いと査定が落ちるから保存せんといかんし、場所取るんじゃあ…
SONYに限った話でもないですが、何を狙って同梱しているのかイマイチ不明。どうせならプロテクションラップの方が使い勝手良いなあ。もっとユーザーの実情に沿ったものを同梱して欲しい…
SEL2470について
レビューに入る前に、ちょっと前提を。
SEL2470GM2は、24~70mmというスナップで使いやすい焦点距離を持つ標準レンズです。82mmの大口径でF2.8通し。メチャクチャクオリティ高い写真が撮れるという評判のGmasterレンズですが、メチャ重いレンズが多い中、かなりコンパクトなズームレンズ!ということで鳴り物入りで出てきた高級レンズです。
同じ焦点距離を持つGmasterレンズでSEL2470GMという商品がありますが、それの完全上位互換品。より寄れるようになり、重さは200g近くカット、サイズもコンパクトになって、コチラを選ばない理由が無くなりました。ただし、価格を除いては。
実勢価格が27万円前後とメチャ高い!その品質の高さを知っている私でも、やっぱりちょっと高いな…と思います。最強ではあるんですが、万人にはオススメできない価格設定です。
本体レビュー
さすがGMレンズ(?)、パッと見で判るぐらいボタンやらスイッチやらがいっぱいあります。メチャメチャ機能が付いてる証左ではありますね。以下にザッと書き並べます。
個人的イチオシは「絞りリング」。標準ズームレンズとしてはαレンズで初めて採用されています。瞬時に絞りを変えられる便利さは知っていたつもりですが、標準レンズにつくだけでこんなに便利になるとは。マニュアル撮影がメチャ捗ります。コレがあるレンズに慣れると戻れなくなる、まであります。
絞りリングのロックのスイッチも装備。クリック感あり・なしを変更できるスイッチもあり、至れり尽くせりです。ちなみに私はクリック感なしがヌルヌル動いて好きです!ロックスイッチは使ったこと無いです!
重量は695gと、正直「軽量」とは言えない重さ。カメラフリーク的には24-70mmのF2.8通し、GMレンズで695gと聞くと「軽い!」となりますが、一般的に695gのレンズは重い部類。やっぱり持つとズッシリきます。
コレを軽いと思えるか?は「写真にどれほど満足いくか?」どうかで左右されます。私の場合、最初は「少し重いな」と思ったものの、撮り始めてからは「これなら軽いわ」と思うようになりました。
本体は質実剛健な作り。ガッチリとしていて堅牢な印象ですが、ゴージャスな感じでもない。言ってみれば「質素」。軽量化のために使われているプラスチックが、よりその印象を引き立ててます。30万近くするレンズ、と聞いて手に取ると少し拍子抜けしてしまうかも知れません。軽量化の恩恵があるので仕方ないんですけどね。
スタイリング
α7Cに装着した様子。α7Cが諸々含めて509gなので、レンズとあわせて大体1.2kg。一般的には軽いとは言えないものの、カメラに慣れてる人なら「軽量」と言って差し支えの無い重量です。メンズ諸兄なら片手持ちでも余裕で撮れるでしょう。
コンパクトなα7Cと合わせても、本体とレンズのバランスがギリギリ保たれているのもお気に入りポイント。レンズがデカいとバランス悪くてカッコ悪いんですが、コレはカッコいい!
先述した各種リング、スイッチがあることで、マニュアル撮影での調整が捗る捗る。被写体に合わせてリングをコチコチして「被写体を追い込んでいく」感じが楽しいレンズです。そういう意味では結構オールドタイプな使い味かも知れません。
ピピッとオートで撮っても驚くほどキレイな写真が撮れるレンズですが、やっぱりマニュアルを試してみて欲しいです。上手く撮れたときの達成感が凄い!
使用感レビュー
24-70mmってどれぐらい変わるのか
α7C+SEL2470GM2にてジオラマ撮影。上の写真のように、24~70mmというのは「やや広角~中望遠」ぐらいまでの守備範囲。SONY機に搭載されている全画素超解像ズームを使えば、140mmの望遠までカバーできます。
解像感と表現力、という言葉がカメラやレンズの評価ではよく使われます。私がその意味を正確に捉えているかは微妙なところですが、SEL2470GM2にはその2つの言葉がまさにピッタリな気がしています。妥協なく解像してくれつつも、美しくボカしてくれる。大口径の明るいレンズの醍醐味を、全焦点距離で味わえるのは驚異的です。
SONYが「どのポジションでも単焦点並み」と謳うのも理解できる実力。単焦点3本分がギュッと一本に詰まったと思えば、30万近い価格にも納得し易いです(当社比)。
70mmで物撮りもイケる
物撮り、といえばマクロレンズ。撮影の指南書には「100mmのマクロレンズが最適」と書いてたりしますが、ざっくり70~120mmぐらいなら目で見て分かるような歪みは起きにくいです。
50mmでも薄っすら歪みますが、70mmならほぼ見た目通りに近い形で撮れます。厳密にはマクロレンズの方が好ましいのかも知れませんが、最近の良いレンズはかなり寄れますし、SEL2470GM2も例外ではありません。
どこまで寄れるか
24mmならココまで、中望遠である70mmの状態でも、ここまで寄れる。24mmなら0.21mまで、70mmでも0.3mまで寄れます。ここまで寄れりゃ「物撮りできる」って胸を張って言っていいんじゃないでしょうか。
作例
本レンズで色々撮った作例をコチラで紹介。現像ソフトかますと何でもアリになっちゃうので、ここで載せてるのは全て編集ナシの「撮って出し」です(通行人の方にボカシはちょいちょい入れてますが)。NDフィルターやPLフィルターもナシです。
ブログの仕様上、あまり重い写真を載せられないので、全て200KB前後に圧縮しています。ご了承のほど。
物撮り
実際に物撮りやってみた結果。
真っ当にザ・物撮りって感じで。黒締めしなかったので輪郭がややボヤッとしてたりしますが、これは私のウデが無いからでカメラとレンズは悪くありません。明るいレンズは照明やらレフやら無くても、それなりに撮れるのでラクチン。ブログ用の素材撮りなどはラクになりますね。
ちょっとカッコつけて。奥行きを出すと明るいレンズならではのボケ味が加わって表情豊かになります。SNSへのアップも捗ります。
少し趣向を変えて。右上は言わずと知れた AirPodsですが、ここまで寄れます(ただし全画素超解像ズーム使用)。正攻法のブツ撮り~寄って細部の撮影までできて、しかもクオリティが高い。プロユースもこなすレンズはやはり実力が違います。
アマレベルでも判る使用感の違いがココにはあります。「こう撮りたい」と思ったものが、思った通りにバチッと決まる。こういう感覚はあまり味わったことがないので、気持ちいいです…!
風景写真を色々
お次は京都を歩きながら撮影。
24mm解放で。F2.8通しというのは偉大で、どう撮ったって明るい。この日はやや曇天気味の天気でしたが、ファインダー越しに見る鴨川は眩しいほどです。
上の2枚はどちらも望遠側、70mmにて。
通りすがりにカメラを出して撮影しましたが、絞りリングのお陰でビッと設定が決まってスピーディ。外への持ち出しが多い標準ズームレンズだからこそ絞りリングが必要なのだと、持ち歩いてみて初めて気が付かされます。
暗所や夕暮れなどの撮影では 大口径+F2.8という明るさが最大限活かされます。というか晴天時の屋外撮影ならどんなレンズでもキレイに撮れるものなので、F2.8通しは暗所や夜間撮影でこそ真価を発揮すると言ってもいいかも知れません。
ディティールを切り取っても、いわゆる眠さが無い写真になります。まさに単焦点っぽい映り。ズームの仕方で背景の入りを調整する、という使い方ができるので撮影の幅が広がります。単焦点を持って出たときの「もうちょっと」が無い。24-70mmという焦点距離は、街歩きにはやはり絶妙です。
夜間撮影。構図やら焦点距離やらISO感度など色々なことを考えながら撮影を行う訳ですが、操作に難があるとそれだけで大きなストレスになります。その点SEL2470GM2は撮影者の「こうしたい」をダイレクトに気持ちよく反映してくれます。撮りたいように撮らせてくれる、懐の深いレンズです。
695gという重量は決して軽くはありませんが、持ち歩きが苦ではないギリギリの重さ。先代から200g軽くなっているのは大きい!バランスが良いのか、手に持っているときには重いと感じることはほぼありませんでした。
ジオラマ撮影
レゴランドのジオラマ写真を何点か。高い解像感と美しいボケ味は、ディティールの凝った被写体にピッタリ。ジオラマに息が吹き込まれるように活き活きと描写してくれます。撮っていて、とても楽しい。カメラの根源的な面白さを思い知らされます。
風景撮りに物撮り、ポートレートにジオラマ撮影まで、どれを撮っても高精細。所持している標準レンズはおろか、単焦点まで出番がなくなってSEL2470GM2ばかり使っています。高いものには理由があります…。
動画撮影はどうなのか
子のピアノ演奏をYoutubeにアップする機会があったので、α7C+SEL2470GM2で撮影してみました。初めてながら、動画の美しさにちょっと驚きました。使った機材は三脚とビデオ照明ぐらいです。固定で撮影する分には商用レベルのものが撮れます。
勤めている会社ではプロ用機材を使うこともありますが「絵のキレイさだけで言えば匹敵する」と思いました。状況さえ整えれば本格的な動画を撮ることも十分可能です。
一方で、ハンディカム然と撮るホームビデオのような撮影には不向きな印象です。一番の理由はSEL2470GM2は手ぶれ補正機構が非搭載だから。α7C本体のボディ内手振れ補正も主に静止画用のものなので、撮ったものを後で確認すると結構ブレてました。商用レベルのものを撮ろうと思ったら、手振れ補正が強力なカメラを使うか、ジンバルなどを併用する必要があります。
撮れる動画自体は超キレイなので惜しいですが、レンズ自体も小さいとは言えないので、ホームビデオのような撮り方をするなら、他の機材の方が向いてると思います。
SEL2470GM2でアクティブな動画を撮るなら、「アクティブモード」を搭載したカメラで撮る、という手はあります(α7CIIやα1、α7S III、α7 IV、FX3などに搭載)。本体の手振れ補正や、ジンバルに頼る必要がある点は留意しておきましょう。
レンズフィルター必須!ぜひ最高のものを
30万円近いレンズなので保護フィルターは必須!高価なレンズは修理も高いので、しっかり保護しておきましょう。良いレンズに変なレンズ付けては意味わかんないので、フィルターもできる限り良いものを。
レンズフィルターは お馴染みKenkoのZXII(ゼクロスツー)を付けとくのがオススメ。面反射は驚異の0.1%。フィルターを付けることによるデメリットを極力排して、まるで「付けていない」感覚で撮影できます。メチャ高いのが玉にキズですが、背に腹は代えられません。
まとめ
初めて手に取ったとき、正直「思ったより軽くないな…持ち歩くかな…」と思いましたが、完全に杞憂でした。メインのレンズとしてガンガン持ち歩いてます。街歩きに使えばレンズ交換の手間も無く、複数のレンズを持ち歩く必要が無いので結果的に荷物が軽くなります。プロユースにも使える、標準レンズのド本命です。
高価なので少しでも安く買いたいところですが、中古でもほとんど値が落ちないので、大手通販のポイントがたくさんつく日に買いましょう。私はAmazonのビッグセール時に10%のポイント付きで購入しました。Amazonは30日以内の不良にサクサク対応してくれるから、というのも理由の一つ。大きな買い物なので、交換返品対応がしっかりしてるところで購入するのをオススメします。
あわせてレンズフィルターも付けておきましょう。高級レンズの破損は修理費5万円とかなので、予防は必須!ケチらずに良いフィルター付けときましょう。反射率0.1%と業界最高品質のゼクロスii を推しておきます。
高くて迷いまくったけど、買って良かったな~と心から思えるレンズ。コレ一本で結構何でも取れるので、またカメラが楽しくなりました。予算があって迷っているならオススメです!
今回はこれにて。最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。