照明器具は、なかなかお気に入りと巡り合えないジャンルの一つだと思います。家具などとは異なり部屋をライティングするものなので、デザインだけでなく光の発し方なども含めてイメージし、検討する必要があります。これが楽しくも難しい。
このランプシェードは京都祇園にある Pass the Batton で見つけ、即座に購入を決めたお気に入り。飛松灯器のランプシェードです。
本記事ではこの照明のレビューをしながら、飛松灯器というブランドについて、また Pass the Batton というセレクトショップについて紹介していきます。
飛松灯器ってどんなブランド?
飛松灯器(旧:飛松陶器)は陶磁器でランプシェードの他、食器や花瓶などを作っているブランドです。飛松弘隆さんという作家さんがやっておられます。
その飛松灯器が作っているものの中でも代表的なのが、磁器で作られたランプシェード。磁器の光を通す性質を活かしたもので、鋳込みの際に発生するバリ(型の境界線に発生する突起)や石膏型の摩耗による細かい凹凸を積極的に残していく作風が特徴です。バリをそのままデザインに活かすシリーズなども展開されています。
飛松さんは「鋳込み」という技法を用いて陶磁器を制作しています。鋳込みとは、溶かした金属を型に流し込んで成型する手法のこと。陶磁器の場合に置き換えると、金属でなく泥ということになるのでしょう。
PASS THE BATON ってどんなショップ?
PASS THE BATON は「NEW RECYCLE」をコンセプトとしたセレクト・リサイクルショップで、東京では丸の内と表参道に出店しています。
リサイクルショップ…といっても一風変わっていて、エルメスの年代モノのスカーフがずらりと並んでいたり、デッドストックの類がリメイクされて販売されていたりします。リサイクルショップとは思えぬオシャレさですよね。
陳列している商品に「どこの誰がどうやって使っていたか」が説明されているなど、中古と軽んじられがちなアンティークアイテムにストーリーを付けることで付加価値をつけている、面白い視点のお店です。
[Slim S drape]レビュー
PASS THE BATON の暖簾をくぐったとき、最初に目に入ったのがこのランプシェードでした。モデル名を Slim S Drape といいます。乳白色のシェードから放たれる、優しい光が印象的でした。
店員さんに聞いてみれば「飛松灯器のランプシェードで[訳アリ]と称されるものを少し安く販売している」とのこと。本来は割って廃棄される予定だったものなんです。いわゆるB級品というやつですね。
ショップのコンセプトに則って、PASS THE BATONがまさに「リサイクル」した訳ですね。環境にも財布にも優しいなんて…ステキ…
正直に言えば私が最初に惹かれたのは安さの部分ですが、廃棄予定だったと聞くと何故だか愛おしくなります。よう生き残ったなあ…というか。ほんとは廃棄されるはずのものが、リサイクルという形をとってPASS THE BATONに並んだ。それを見かけて、購入に至った。ただ漠然と買うだけでなく、ストーリーがあるとアイテムに一層愛着がわきます。
かくして我が家にやってきたランプシェード。電球色のLEDを装着して、ナイトライトとして活躍してもらっています。drapeというモデル名のとおり、陶磁器でつくられたカーテンのよう。布が自然につくるドレープのような模様が、陶磁器の厚みで表現されています。
陶磁器の薄い部分は明るく、厚い部分は濃くなるわけですが、その濃淡が模様を柔らかく浮かび上がらせます。どこかアンティークのようでもあり、古き良きミルクガラスのようでもあるので、和風洋風問わず部屋にマッチしてくれます。
飛松灯器におすすめの電球
口金E-17 ミニクリプトン球40Wまで、とされています。LEDも可、必ず電球色を選ぶこと、との但し書きもあります。
なぜか飛松灯器が公式にアイリスオーヤマのLEDをおススメしていたので、言われるがままに購入しました。電球色も良いですが、白昼色もなかなかです。中に入れる電球の色で表情が大きく変わるのも魅力ではないでしょうか。
PASS THE BATON じゃないと買えないの?
PASS THE BATONはオンラインショップでは飛松灯器のランプシェードを扱っていません。先に書いたような「ストーリーのあるランプシェード」を買おうと思ったら、PASS THE BATONの店舗に足を運ぶしかありません。
PASS THE BATONには2~3種類しか展示されていませんでしたが、通販でしたらフルラインナップです。形状も多彩に用意されているので、陶器で作られるランプシェードってどんなん?と気になった方は是非チェックを。
飛松灯器の照明が欲しい!というだけであれば、大手通販などのほうが良いですね。ストーリーは自分で作っていくのも素敵ですね!
本日はこれにて。最後までお読み頂きありがとうございました。