SONYから世界最小コンパクト機、α7C が発売されたのが2020年末。フルサイズ機とは思えぬ小さな躯体は多くのファンを生み、フルサイズの入門機としての地位を確立しました。(本ブログでも紹介。過去記事はこちら)
そして2023年末に後継機が発売されました。その名も α7C II 。ド直球です。本記事ではこの α7C IIを開封レビューしながら、前期種から何が進化したのか?どういう人におすすめなのか?などを、作例を交えつつ紹介していきます。
α7C IIレビュー
開封
例によって「ボディのみ(ILCE-7CM2)」と「ズームレンズキット(ILCE-7CM2L)」の取り扱いがあります。今回私はズームレンズキットをチョイスしました。本体カラーはシルバーとブラックの取り扱いがあり、ブラックを選んでいます。
さっそく開封します。ドン。
ひと昔はデジカメ買ったらやたらと色々付いてきたものですが、今はかなりサッパリめ。説明書の類はほぼ完全に電子マニュアルに移行し、付属物は必要最低限です。個人的には保管に場所を取らないので、スッキリしてて好感が持てます。
キットレンズはα7CでもキットレンズだったSEL2860。キットレンズって軽く見られがちですが、侮るなかれSEL2860は超優秀なレンズです。詳しくは後述します。
本体レビュー
こちらはレンズを取り付けた様子。パッと見た感じは先代機α7Cとほぼ同じ。持った時の重さも体感できる違いはありません。ただ、細かく見ていくと思った以上に進化していることに気づかされます。
先代機で唯一と言っていいほど不満だったのが「カスタムボタンの少なさ」でしたが、本機では待望のカスタムボタンが追加。またグリップ前部にダイヤルが追加されるなど、インタフェースがかなり刷新されています。
先代機にも共通して言えることですが、小型機なのにしっかりファインダーのある設計が嬉しい。しっかり写真を撮るならやはり欲しい機能です。
上面にはシャッターボタンと電源スイッチ、モード切替とダイヤル、MOVIEボタンを配置。小さく見える穴はスピーカーです。下部にはバッテリーカバーと三脚用ネジ。
入出力インタフェースは本体左サイドに集約。一番上のカバーにはマイクとUSB Type-C、真ん中にはSDカードスロット、下部にはHDMIとヘッドホン端子が配置されています。こちらも先代から微調整が加えられているので後述します。
液晶の稼働方式はバリアングル。可動自由度が高いので、小型ボディを活かしてあらゆるアングルから被写体を狙えます。
αシリーズ高級機に採用されているチルト/バリアングルの融合型だと最高でしたが、あれだと重く厚く高価になっちゃうので仕方ないですね。
さっそく先代機と比較
先代機と比較しながら各所を見た方が解りやすいので、さっそくですが2台並べてみてみます。パッと見はやはり同じ機種に見えますね。
大きく違うのはグリップ上部にあるダイヤルの有無。このダイヤルにも操作をアサインすることができるので、カスタマイズ性がアップしました。また、シャッターボタンが一回り大きくなっています。電源のON/OFFスイッチは凸部分の位置は変わっているものの、大きな操作感の違いはありません。
そして個人的に強調したいのが、グリップ部分の型押し加工!先代機はドットの型押しでしたが、シボになりました。αといえばコレよね。
やっぱ αシリーズと言えばシボの型押し!高級感があって、古参のファンほど嬉しい仕様です!大げさですが、これだけでも買って良かった。
上から。「動画モード」「S&Q(スロー&クイック)モード」がモードダイヤルから分離、静止画/動画/S&Q切換ダイヤルとして独立しました。これにより、シャッタースピード優先にしつつ動画モードに、など、状況に合わせたセッティングがし易くなりました。主に動画撮影に恩恵のある機能と言っていいでしょう。
後ダイヤルRからは、露出補正の目盛りを削除。賛否が分かれそうですが、個人的には良いかなと思いました。目視で確認することはあまり無かったし、ミニマルでカッコいいですし。
背面。とにかくカスタムボタン(C1ボタン)の追加がめでたい。欲を言えばもう一つ欲しかったところですが、前部ダイヤルも増えたことですし贅沢は言いますまい。結構押しにくい場所にあったMENUボタンは薄っすら右寄りになり、ちょっぴり押しやすくなりました。
地味だけど良かったのが、コントロールホイールの形状変化。ご覧のように周囲が盛り上げられ、出っ張りが少し大きくなっています。これによりホイールの指のかかり具合が格段に向上して、グリグリ回しやすくなりました。
よく使う部分なので、ホイールの操作性向上は思った以上にフィーリングが良かったです。あまりプッシュされてない改良点ですが、細かくブラッシュアップされています。
左サイドのインタフェース部。USB-C端子が最下部から最上部へ移動。端子に増減は無いので、使い勝手は特に変わらず。強いて言えば、最下部に端子が集まっていた問題が解消してバランスが良くなりました。
メニューのUIは一新。SONYのUIってオシャレなものが多い (プレステとかはその代表ですね) ですが、先代機と比較して洗練されオシャレになりました。
一方、メニューの階層構造が複雑になったので、少し分かりにくくなったかも。慣れで解消されるものと思いますが、使って2週間たってもまだちょっと慣れません…。
スペック比較
今度はスペックで比較してみます。α7C、α7C IIに加え、同時発売された α7CRも並べて比較してみましょう。
α7C IIが先代機から進化したポイントは大きく3つです。「画素数の向上」「4K60p動画撮影に対応」そして「本体手振れ補正機能のパワーアップ」です。本体サイズはと言えば、厚みは5mm増、重量は5g増と微々たるもの。サイズ感はそのままに機能が向上、加えてインタフェースを使いやすく刷新した形になります。
細かい所では、イメージセンサーのアンチダスト機能を搭載。センサーにチリやホコリが付着しにくくなりました。レンズ交換を頻繁にするユーザーには有難い機能です。
α7CRは本体サイズ、本体重量共にα7C IIほぼ同じで、有効総画素数6100万という超・高画素機。一方でフォーカスポイントの数と、高速連射性能がやや犠牲になっています。動きのあるものを撮るなら α7C II、静物や景色をガツンと高画素で撮るならα7CRが向いていると言えます(用途にも依るので一概に言えませんが)。
α7C IIの優れている点はズバリ「コストパフォーマンス」。スペック的にはミドルクラス機・α7IV に匹敵する性能ながら、世界最小クラスのコンパクトボディ。先代機から大きく進化した、価格に対する満足度が高い一台になっています。
使用感レビュー
当たり前ではありますが、α7Cを愛用していた方にはもう間違いのない使い心地。保体の大きさも重さもほぼ同じなので、まさに「馴染む」感じ。相変わらず軽くて小さく、持ち歩きが苦にならない。それでいて細かいところがブラッシュアップされているので、使っていて嬉しくなります。
グリップを握ると小指が余るのも、もう慣れたもの。小型機のデメリットではありますが、光り輝く「携帯性」という長所が短所を補って余りあります。
先にも書きましたが、大きな不満点の一つだったカスタムボタンの不足が解消。さらに前ダイヤルまで追加されて、ボタン割り当てに困ることは無くなりました。前ダイヤルが欲しい!と思ったことはありませんでしたが、マニュアル撮影では超便利。右手の親指&人差し指で、素早く被写体を追い込めます。
絞りリングのあるレンズを使うことが多かったですが、前ダイヤルで調整できるようになったので他のレンズでも追い込めるように!マニュアル撮影の出番がグッと増えました。
測距点数が先代機から最大693点→最大759点と増大。オートフォーカスの精度が向上したことに加えて、被写体をAIで認識させる機能を搭載させることで更なる精度を得ています。予め被写体を設定しておけば撮影がメチャ快適になります。
α7C IIの弱点としてフォーカススタンダード(ソニーはマルチセレクターと呼称)が無いことが挙げられます。フォーカスフレームを動かすときにホイールをコチコチやるのは結構手間です。AIでの自動フォーカスはそういった手動の煩わしさを排除し、快適な撮影をサポートしてくれます。
認識精度はすこぶる高いです。使いこなせばメチャ便利です。認識対象が多いので、設定対象をメニューから選ぶのが面倒、というのが一番の欠点かも。
強力な本体手ブレ補正がつき、4K60pに対応したことで、先代機に比べて格段にVlog機としての完成度が上がりました。携帯性と価格で鑑みても、Youtube等の撮影においては最右翼機の一台、と言っていいんじゃないでしょうか。先代機と同じ使い方で、よりクオリティの高い動画が撮れます。実直なスペックアップを感じますね。
実際に撮影してみましたが、動画の美麗さはそのままに手振れ補正が加わっているので、先代機に比べると格段に使えます。後ほど紹介します。
触れずにはいられないのが、スマホとの連動機能。アプリがメチャメチャ改善されました! Imaging Edge Mobileは正直、デバッグしてんのか? お世辞にも使いやすいとは言えない出来でしたが、α7C IIで使うアプリ「Creator's App」は良いですよ!普通にやりたいことが普通にできる感じ。これこれ、コレよ求めてたのは。ありがとうSONY。
リモートシャッター要らずで遠隔操作可能。動画撮影やセルフポートレートなど、Vlog用途がより捗るようになりました。ブログ用の撮影にマジでありがてえ~
色々撮ってみた
実際の作例をば。レンズはもちろんキットレンズであるSEL2860にて。
SEL2860は 28~60mmという、やや広角~中望遠の一歩手前まで映せるバランス感が絶妙。α7C IIに付ければ680g程度と、フルサイズでは考えられない軽さ。超コンパクトなサイズも相まって、旅行や持ち歩きにピッタリなんです。28mmで撮れば、上の写真ぐらいには広角になります。
静止画3300万画素なので、多少のクロップには耐えられます。上の写真は全画素超解像ズームとAPS-Cモードを組み合わせて撮ったもの。細部まで潰れずに描写されています。
ISO感度 1600ぐらいまでは、ほとんどノイズも感じられません。8000ではさすがにノイジーになってくるものの、階調は豊かに再現され、しっかりディティールも残っています。難しいことを考えず適当にシャッターを切ってもこれぐらい撮れるのはカジュアルでとてもいい。
ボディ内手振れ補正は5軸7段の強力な補正効果。先代の5段、α7 IVの5.5段を大きく超えます。上の写真も手振れ補正を持たないキットレンズで撮影したものですが、1秒のスローシャッターでも手持ちで撮影できる精度があります。
小さいボディでこれだけの手振れ補正を行ってくれるのは非常に心強い。三脚ナシでスローシャッターを切れるのは、街ブラ時のシャッターチャンスが広がるというものです。
タッチパネルの感度も軽快で、撮りたいものに気持ちよくピントが合います。中望遠側で撮れば美しいボケも楽しめます。SNS用の写真撮影などでも満足できる写真が撮れるでしょう。60mmなら歪みも最小限、ギリギリ物撮りもイケます。
こちらは被写体検出機能の「動物」を試してみたところ。素早く泳ぐペンギンも動き回るレッサーパンダも、ずっとピントが合い続けます。あとはエエ感じのところでシャッターを切れば、ご覧の通りの写真が撮れます。こりゃ便利。
野鳥観察などでは、特にチカラを発揮しそうなこの機能。いずれは、カメラがすべて自動で判断してくれるようになるのでしょう。そんな未来に想いを馳せられる、面白い機能です。
動画撮ってみた
大事な前置きを1つ。α7C IIの4K60p撮影時には Super35(APS-Cモード)に切り替わります。つまり1.5倍クロップ。そう聞くと「ええ~」という感じがしますが、α7Ⅳでも同じ。他メーカーでも4K60pのときはクロップされるのがほとんどです。小型フルサイズ機で4K60pノンクロップが撮れる時代は、まだちょっと先です。
というわけでこちらは 4K30pで撮った動画のキャプ(=ノンクロップ)。レンズはSEL2470GM2です。「画素加算のない全画素読み出しによる7Kオーバーサンプリングで高解像4K動画画質を実現」というSONYの謳い文句通り、モアレやジャギーが少なくディティール再現に優れた画像が撮れています。まるでトップユーチューバーの動画みたいです(語彙)。
α7C IIの高いAF性能、階調・色再現性が組み合わさって、成果物のクオリティの高さに驚かされます。GMレンズと組み合わせると、まさに最強。
こちらは手振れ補正「アクティブ」にて撮影。写真撮影でも感じた手振れ補正の強さはココでも健在で、走る我が子を手で追ってもブレは最小限。なるべくカメラを揺らさないように…と「ジンバル歩き」をしていた先代機 α7Cでの撮影時とは大違い。5軸7段の手振れ補正だとこんなに違うんか…!と進化を実感します。
胸を張って「α7C IIで動画、撮れます」という完成度。Vlog機としてはもちろんのこと、子どもの運動会や発表会撮影でも活躍が期待できますね。
まとめ
先代機 α7Cから正統進化を遂げた α7C II。より高画素化し、手振れ補正が超強力になりました。さらにアクティブモードに対応。ハードウエア面ではスタムボタン不足が解消され、ボタン配置が見直されて使いやすく。被写体検出機能には対象が追加され、アプリの使いやすさは劇的に改善しました。
個人的にはグリップの型押しがシボになったのが超うれしい!細かいところまでアップデートされているので、α7Cユーザーは買い換えて間違いない一台だと思います。
お手持ちにαレンズの資産が豊富にあるなら、本体のみの選択を。
amazonや楽天、YahooショッピングなどのECサイトの方が安く買えますが、SONYストアだと10%引き&3年保証付きなので、最終的な差は小さいです。少しでも安く買いたいなら大手ECサイトを、安心込みで購入したいならSONYストアがいいでしょう。安い買い物ではないので、納得できるところで買い物を。
本日はこれにて。最後までお読みいただき、ありがとうございました。